白血病を患った華(谷村美月)の療養のため、5年前、須藤一家は東京から新潟県小千谷市片貝町に引っ越してきた。9月9日。毎年、世界一の花火が打ち上げられる“片貝まつり”の日、半年間の入院生活を終えた高校生の華は、19歳の兄・太郎(高良健吾)が自室に引きこもっていることを知る。その夜、来年の自分たちの花火を盛り上げようと気勢をあげる成人会に遭遇した華は、太郎を成人会に参加させようと決意する。乱暴なまでの勢いで家から連れ出した太郎を成人会の集会所に連れていく華だったが、地元育ちでない太郎は入会を断られてしまう。しかし、妹の健気な後押しに勇気付けられた太郎は、新聞配達のアルバイトを始め、新しい生活をスタートさせるのだった。冬も近づいたある日、華の白血病が再発、再び入院生活が始まるが、容態は前回よりも確実に悪化していた。華は、片貝に引っ越してきた5年前、家族4人で見た花火への思いを太郎に告げる。太郎はそんな華の思いを知り、苦労しながらもなんとか成人会への参加を認めてもらう。だが、華の容態はさらに悪化、太郎と母・登茂子(宮崎美子)、父・那昌(大杉漣)は病院に駆けつけるが、家族の思いは届かず、華は帰らぬ人となってしまう……。華の死後、太郎は成人会を辞め、華のために一人で花火をあげるべくアルバイトを増やし、煙火工場の工場長に頼み込んで花火作りを始める。そして9月9日。様々な思いの込められた花火がメッセージの読み上げと共に打ち上がり、メインイベントである成人会の花火で祭りは最高潮に達する。太郎の花火が打ち上がり、赤一色に空が染まった。ひとつふたつと散り逝く花火。最後の火の粉が消えるまで、両親と寄り添いながら太郎はただただ空を見上げているのだった。
おにいちゃんのハナビ
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アトムとピース 瑠衣子 長崎の祈り
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広島・長崎に原子爆弾が投下されてから71年。
紛争が絶えない世界で核廃絶はいっこうに進まない。
唯一の被爆国であり世界の核廃絶をリードすべきはずの日本は、史上最悪の福島原発事故を起こし、それでも再び原発を動かそうとしている。
「長崎を最後の被爆地に。」
放射能の恐ろしさをいちばん知っていたはずの日本人が、なぜ福島の事故を起こしてしまったのか?
そしてなぜ今も原発にこだわるのか?
長崎の被爆3世の瑠衣子はこの疑問を胸に、原子力の平和利用の現場を旅する。
福島県浪江町では無人の町を歩き、仮設住宅でお年寄りの無念の思いに耳を傾ける。長崎の保養キャンプに招いた子供たちとも再会。放射能の恐怖に怯えながら暮らす親子の姿を目の当たりにする。
青森県六ヶ所村では試験運転中の再処理工場を訪問。地元で反対運動を続ける漁師とも出会う。
旅の終着地はマグロで有名な大間町。全炉心でMOX燃料を使用可能な世界初の大間原発の建設用地にログハウスを建て、持続可能な暮らしを実践するひとりの女性と出会う。
瑠衣子は母校の長崎大学核廃絶研究センターを訪ね、日本が47トンもの大量のプルトニウムを保有している事実を知る。
長崎に落とされた原子爆弾「ファットマン」の原料となった、あのプルトニウムだ。
いったいなぜ?
撮影班は、瑠衣子とは別に日米の政治家や専門家へのインタビューも試みる。
ジャパンハンドラーの異名を持つリチャード・アーミテージ、原発事故時の首相、菅直人、米国の“アトムズ・フォー・ピース”政策を批判し続ける歴史家、ピーター・カズニック、日米原子力交渉を担当した外務官僚・遠藤哲也・・・
やがて瑠衣子は、政治家たちが隠してきた重大な事実を知ることになる。
長崎に生まれた者として、決して許せない事実を・・・
そして、“日本の原子力の父”とも呼ばれるひとりの老人と向き合う。
プルトニウムがつなぐ長崎・福島・青森、そしてアメリカ。
瑠衣子の旅を追ったロードムービー。